1873年創業の由緒ある料亭鎌仁別荘の「非日常感」は、暖簾をくぐる瞬間から始まる。さり気なく季節を感じるしつらえや心地よい凛とした空気感は、茶道の精神そのもの。呼吸を整えて部屋に入れるよう待合で一服し、心を落ち着かせた後の案内も、ゆったりと料理を楽しむために必要な時間である。また「１日１室１客」の徹底も、日常の喧騒を忘れさせてくれるだけでなく、このご時世に大きな安心感をもたらしてくれる。
料理においては「食べることは生きること」の理念のもと、味わいと共に料亭文化の提供を貫いている。お客様のお運びも一期一会と捉え、自然体ながら洗練された接客に触れられるのもここならでは。これからの季節にはかに料理はもちろんのこと、本格的な懐石料理など食を通しての文化体験プランも用意されており、季節を問わず「おもてなし」の真髄を多面的に体験することができる。

石畳が風情を醸す寺町通りを抜けた先にある料亭萬谷。暖簾と趣ある行燈が、これから始まる時間への期待を高めてくれる。照明には越前和紙、食器には越前焼、カトラリーには越前打刃物を使うなど、郷土の伝統的工芸品に対するこだわりと愛情、そして誇りが感じられる。部屋の造りも趣向の異なるものがいくつも用意されている。個室として利用できる離れでは、雪見障子越しの坪庭を眺めながら贅沢な特別感をご堪能いただきたい。また、玄関右のにじり口のような扉から入る少人数用の部屋にはカウンター席と掘りごたつの小上がり席があり、カウンター正面の小窓から見える景色は、まるで四季を切り取った絵のような趣である。訪れる時間や季節によってさまざまな表情を見せる料亭は、厳選されたかにを使った会席の季節はもちろん、折々の旬を楽しみに何度でも足を運びたくなる至福のひと時を提供してくれる。